シリコンスポンジ(ゴムスポンジ)の硬度についての考察(C硬度またはE硬度)

スポンジになくてはならない基準【硬度】について…

ちょっとその前に…
数多くのシリコンスポンジを世の中に出してきたのですが、まだまだ浸透していない、もっと広く知ってもらわなければと日々思っております。
最近もまだまだだなと思うことも多々あるので啓蒙活動?は必要ですね?日々感じております、はい。

でもここ数年で【シリコン】の知名度は上がったと感じています、皆さんもそうではないでしょうか? 最近一気に身近になった感があります。
その原因として考えられるのはキッチンツールであったりスマホのカバーなどではないでしょうか。これらの爆発的なヒットにより今まで医療用と勘違いされていたり、一部のマニアな人々が使うものだというイメージが払しょくされたといっても過言ではないと思います。
あとは安価に販売されているものが増えて手に取ることが多くなったってことです、いわゆる100円均一のお店(ダイソーやセリアなど)でも目にしますしね。

そして本題はそのシリコンシリコンスポンジ硬度について。

そもそもシリコンとシリコンスポンジは物性などはほぼ同等なのですが、硬度はその尺度、つまり基準が違います。
これは業界内でもよく勘違いされるのですが、まず基準が違うということは測る機械(計測器つまり硬度計)も違います。
これは意外と知られていないかもしれません。
実際に硬さ40°と書かれているのに実際に硬度計で測ったら20°しかないからこれは間違っている不良品だ、、なんて問い合わせも年に数回あったりします。今のところ10割の確率で間違った硬度計での計測結果をもとに話されていますので硬度計のメーカーや種類を聞くようにしています。
経験上のお話しですがA硬度計とCまたはE硬度計ではだいたい20°くらいの差が出ます、ちゃんと測れていてのことなのであくまで目安で、硬さによってもその差は変わります。

このへんについてはごちゃごちゃ書くよりも、最もよく使われるアスカー硬度計の製造元である「高分子計器株式会社」さんのホームページを参考にしてみます。
いつもお世話になっております。

■選定チャート

選定チャート

デュロメータ(ゴム硬度計)は上図に示しているように、試料の種類に応じて様々なタイプが製作されています。ゴム用としてはJIS K 6253準拠のタイプAデュロメータ(アスカーA型)が最も一般的です。しかしながら硬度計は20~90ポイント間を指示している時、最も有意差が出るとされているので、例えばタイプAデュロメータで測定して90ポイント以上を示すような硬い試料にはタイプDデュロメータ(アスカーD型)を使用する方がよいでしょう。逆に、20ポイント以下を示すような軟らかい試料にはアスカーC型、もしくはタイプEデュロメータ(アスカーE型)を選定します。つまり、試料に応じた最も適切な機種を選定することが重要なのです。

 

と、書いてある通り。

アスカーゴム硬度計A型
アスカーゴム硬度計A型

A硬度計で20°以下の場合はC硬度計で測るのが良いとのこと。
逆に90°以上の場合はD型を使いなさいよとのことですね。

アスカーゴム硬度計C型
アスカーゴム硬度計C型

簡単に言うとゴムはA硬度計でスポンジはC硬度計で測りましょうということです。

たまにゴムでも硬度5°でとても柔らかいとか、特殊硬度などとうたっているものもありますがほとんどがA硬度計でも計測値であったり、そこまで明記されていないもの(どうやって測ったんでしょうか…)がほとんどです。
20ポイント以下は違う硬度計にて…と書かれていますのでね。それって本当に5度?ってなることもしばしば。

そもそもゴムの硬度の具合とスポンジの硬度の具合では全く違います。
ソリッドゴムとゴムスポンジは用途も違うでしょうし、間違えることはないとは思いますが基準が違うので要注意です。

そんな少しややこしいゴムとスポンジの硬度ですが、実際は硬度にも公差がついていて、だいたい±5~10あるので、そこまで気にしなくてもいいかなと思います。
配合や成型などで若干硬度変化がもたらされるわけで、厳しく指定されてもその数値が出るかどうかはやってみないとわからないのが本音。

稀に指摘されることがあるのが硬度の公差ですね。
E25±5°と書くと±5の根拠は?となるわけです、これはどこの基準に合っているものではないので社内で設けた基準なんですね。根拠は?と言われればスポンジ専業50年以上の経験があります。なので経験上±5°に入りますということなのですが、ISOまたはJISなどで規定されていない基準を納得できないというところもあります。稀なのですがこういう場合は実測値でお知らせすることがほとんどですね。

ちなみに人肌は約10°です、C硬度計で。

あとショア硬さとか硬度とか言われますがこれは金属系の硬さを言ってることが多いです、なのでゴムはA 60とかA/60などと書きます、HSとかも書かれていますね、スポンジはASKER C 40などと書きます。
これはあらゆる図面などで表記間違いが見受けられます、一部は無視しますがあまりにひどい場合はこちらから指摘し修正してもらうこともあります。
図面を作成するのは設計の方が多いと思いますが、硬度のことまでしっかり記載されていることは稀です、よっぽど慣れていなければ適当に書かれているのが実情です、難しいですよね~。

あとデュロメーターと書かれているものも散見されますが…これはさっきのショア硬さで出てきたショアさんが作った硬度計がデュロメーターということですね、これはこれで日本にも使っている人がある程度いるとは思いますがアスカー硬度計を見ることが圧倒的に多いですね、ちなみにドイツではバーレイスですね、これは見たことないかな、、、これらが硬度計の世界3大メーカーということらしいです。

デュロメーター
デュロメーター

 

デュロメータータイプD
デュロメータータイプD

ASKER C ○○なんて長ったらしいのはスポンジだけ特別扱い(JISやISO規格じゃない)なので略されてないんです。
これは日本ゴム協会標準規格なんですね、なぜこんなことになっているかは後述します。

あと大人の事情でASKER C≒ASKER Eなんですね、なかなかめんどくさいので一緒でいいと思います。大体みんな一緒という認識ですね。

大人の事情というと知りたくなるのが人間。
それではここでE硬度計とC硬度計の違いを比較してみましょう。
下図参照いただければよくわかりますが…ほぼ一緒です。ちなみに数値も同じ数値が出ます、ただ準拠規格と押針形状とスプリング荷重、用途が違いますね。
そこまで大きく違うところはないです。
結果が一緒ならどっちを使ってもいいじゃんとなりそうですが…ISOならE硬度計でJISならC硬度計でしょうかね。

最近はE硬度計のが多いです。
C硬度計は少なめですね。
あらゆるスポンジメーカーの数値などを見ていると数年前はC硬度計表記だったのがE硬度計に変わっていたりします。JIS規格の影響が大きいです。逆にC硬度計派は少数になってきたイメージです、でもまだまだ多いのが実情。
そう簡単に買い替えることができないものなのと、結局一緒だからってことが大きな理由かな。意外と高いぜ硬度計。

ASKEREvs.ASKERC
ASKEREvs.ASKERC

日本ゴム協会標準規格で作られたのがC硬度計、その後制定されたJIS規格で作られたのがE硬度計となっています、なぜJISでC硬度計が採用されなかったかはわかりませんが先にあるものを採用すると新しいJISという規格には合わなかったんでしょうね…ただあるものを採用するのはあまりにも簡単で手抜きっぽいから?設計思想?がというか押針形状がインチだから?JISのミリ表記と合わない?それとも日本ゴム協会のことをもしかして…想像は尽きないですがちょっと気にはなりますね。

そして硬さについてはゴムやゴムスポを扱うととても重要な事柄になってきます。
作る側だとなおさらです。
寸法もそうですが硬さも見積や製品検査においても最重要項目でもありますので製品化の前にしっかりと打ち合わせできたならいいと思います。

板物(シート状)やひも状(押出)のゴムスポは均一な硬さが出やすいです、なのでカタログ値などもCまたはE15±5°等しっかりとした表記になっていることが多いです。
しかし異形の成型物は箇所によっては硬度が違うことも多くどの部分を重要視するかによって材料の選択もシビアになってきます。
薄いものは測りにくく、分厚いものは測りやすいんです、ちょっと前の画像で硬度計があったと思いますが半球状に飛び出た部分を押し込む量で硬さを図っている関係上、薄いと底突きするんですよね、対象物を計測していると思いきやその下の机?を計測していたりすることはよくあることです、その場合は重ねたりして何らかの工夫をします。

あとゴムスポの硬さの範囲はどれくらいか?
弊社で成型する場合は約C15°~50°までです。
材料や形状によっても変わってきますのでこのへんは要相談ということでお願いいたします。よく相談を受けるのは15°以下はできないんですかとか50°以上はできないんですか?等の質問です。
答えとしてはできるんですけど本当に必要かどうかを見極める必要があるってことです、ただただ柔らかいのがいいとか実際にその硬度の製品に触れることもせず決めるのは危険度が高いです、通販で服や靴を買ったら色やサイズが違ったみたいな簡単なことではないですからね、金型ありきのはなしになってくるので大ごとです。触ってみてもうちょっと硬くとか思っているよりも柔らかいとかよく言われます、トラブルの元でもあるので硬さ20°でお願いしてたのに30°だったとか数字で表現しないと前に進みません、だって寸法検査の時にノギスや定規、巻き尺なんかを使って長さを測るでしょ?だったら硬さも測りましょうよってことです。案外人の感覚って適当だよ。

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